2011-09-24

悪いことばかりじゃない

ここのところのフラストレーションを晴らすべく、鹿嶋にフグ釣りに出掛けた。
心の中で「もしかしたら束っちゃう?」なぁ~んて、不埒なことは“当然に考える!”
船宿は何時もの幸栄丸さんだ。

今回の気合いの入り具合を象徴するように、出船2時間前に港に到着する。
勇んで席を取りに行くと、両艫がどころか、胴間しか空いていない…。
そもそも、人気宿でなくても2時間前に艫が確保できると思っている私の認識の甘さは、却って潔さを感じるほどだ…。
しかし、解ってほしい。
出船2時間前に港に着くなど、私には年に1度あるかないかの快挙だということを。

仕方なしに空いている席で準備をしていると、中乗りさんが「1人なら別船に移らない?昨日は潮が早くてオマツリ多かったから空いている別船の方がいいよ。まだ3人しか乗っていないから」と勧めてくれた。
その別船は見てのとおりの職漁船だ。

20t級の主船と比べると見劣りします。

しかし、今回の私は冷静だった。
確かに20t級の船は揺れも少なく快適だ。
だが、主船のなかを見渡せば、乗船者で満員御礼である。
オマツリ必須だし、船が大きい分、竿先から水面までの距離が高く釣り辛いという難点もある。
今回、そこそこの釣果が無ければフラストレーション解消にもならないので、実利を優先し「移りま~す」と回答した。

だが、この一言が不幸をもたらすことになるのを私はまだ知らない。

いざ出船すると、別船は船縁が低いこともあって飛沫がバンバン飛んでくるし、足元には漁で使うロープが束で積み上げてあるわで足元も悪い。
そんな狭い船中、網を巻く機械に頭をぶつけて「あっ痛っー」と苦悶していると、私の背後で「ガシャッン」と音がした。

中乗りさん(先程とは別の人)が私の竿を踏んずけたのだ。
悪げもなく立ち去る中乗りさん。
可愛そうな愛竿を手に取ると、トップガイドから5番目が明後日の方向にひん曲がっている。
恐る恐る指で押して直そうとすると「ポッキ」とあっけなく折れてしまった…。


普段はウサギのようにおとなしい私も流石に文句する。
しかし「ゴメン、ゴメン」と謝られてしまうと、もう修理に出すほかやりようがない…。
世の中こんなもんである。

彼是している間にエンジンがスローダウン。
当日のポイント鹿嶋沖に到着したようだ。


ポイントに着くと、竿を踏んずけた中乗りさん(以下こちらを「中乗りさん」と呼ぶ)、性懲りもなく私の横で竿を出すらしい。
デリカシー欠如?本当に反省しているのか?
まあ人懐っこい人だし、仕方ないかと諦める。

当日は最初の一投からポンポーンと二連荘。
「よしよしこの調子なら束かも、束…」とニンマリしていたが、後が続かない。
中乗りさんが船の雑用を終え、少し遅れて自分の道具を入れた…。
すると、あれよあれよの入れ掛かり。

幸栄丸に乗るたびに、オマツリを解いたりする合間・合間ながら、竿頭を超える釣果を出すことは知っていたが、目の当たりにすると凄い破壊力だ。
ガイドは壊されたけど、よくよく考えれば隣で釣りをする機会も滅多にないのだから、ここはシッカリ学習させて貰おうと気持ちを切り替えた。

彼のフグ釣りは単純なタイム釣りではない。
ゼロテンで待つ私の釣りと相反して常に道具を動かしアクションも大きい。
アタリをとって掛けることもあるが、見切りが早く、結果タイム釣りに見えるようだ。

そんな中乗りさんの釣り方を見聞きした(最終的に別船には5名しか客が乗らず、中乗りさんは仕事らしい仕事もなく、ず~と私の隣で釣りをしていた)内容は次のようなものです。

●大原のように小型の群れが湧いて、ダブル・ダブルの連続といった
 “入れ掛かり”は鹿嶋には無い

●フグが底で当らない場合、空アワセを頭の上まで大きくする。掛れ
 ば宙層狙いに切り替える(仕掛を落とすときサミングで様子見も)

●フグが船下で当らない場合、遠投して広く探る。この方が船下で粘
 るより1匹が早い

●カレイの小突きのような誘いが有効である

●これは私もやるのだが、底棚キープ≒ゼロテンキープするのにクラ
 ッチを切りっ放しにもする

特に「カレイの小突き」はやってみると目から鱗。
確かに誘い&ストップで、打率は目に見えて上がった。
そんなレベルUPというボーナスがついた釣行の釣果は59尾。
竿の破損はあったものの、悪いことばかりじゃない。


ショウサイフグはこれからシーズンイン。
大原の10月解禁、マル秘スポット(洲崎)、天然トラフグが釣れる千倉への釣行が楽しみである。

2011-09-23

散々な夏だった

この夏は本当にパッとしなかった…。
日曜釣行メインの私の実績は、

7/03 千倉でショウサイフグ。10尾と外フグのワースト記録樹立
7/10 夏カワハギ。13枚で次頭とまずまず
7/17 エビスズキ。人生初の丸坊主
7/24 LTアジで前週の丸坊主の傷を癒やす
7/31 ご不幸があり海に出ず
8/07 所用により海に出ず
8/14 日立久慈でショウサイフグ。43尾とまずまず
8/21 剣崎で月例仕立(真鯛)。お決まりの坊主
8/28 所用により海に出ず
9/04 台風12号で中止
9/11 洲崎からスルメ出船。凄い二枚潮に苦しみ釣果4杯と、ド貧果・撃沈
9/18 佐島で月例仕立(真鯛)。坊主(ご愛嬌で掌サイズ1尾)

仕事のストレスもピークに達しているこの状況で、数釣りが好きな私にここ一連の釣果は悲しすぎる。
そこで私は豪快な引きを満喫できるカツオ・キハダを狙い静岡に遠征することにした!





というのは嘘で、ショウサイフグを束釣りすべく茨城に遠征することにしたのだった。
つづく

9/18月例仕立の風景。
ポイントは佐島というより亀城根と言った方が通りがよいか?

何時ものメンバーが1名欠けたが、ゲスト1名参加で6名で仕立専門「深田正夫丸」

左程、深くなければ鯛は手巻きで。

2011-09-04

湾フグ竿

湾フグの釣行記では事に触れてタックルのコメント等を残してきましたが、今回は「湾フグの竿」について詳しく書いておこうと思います。

そもそも「湾フグ」と銘打った竿はメジャーブランドからは殆ど販売されていません。
販売されていたとしても、お茶を濁すような竿ばかり…。
それを裏付けるように、実際の釣行で船中を見回しても誰もメジャーブランドの竿は手にしていません。

-----追記---------------------------------------------------------------
上記の前置きは、このコメントを作成した平成23年(2011)当時の話です。
平成26年(2014)現在、ロッド素材(カーボン等)の進化や、加工技術の向上も手伝って、メジャーブランドも湾フグ竿を何本も市場投入しています。
特に、過日釣具屋で触ったSHIMANOリアランサーWAN FUGUは、湾フグフリークの私としても是非、手に入れたい銘竿です。
この追記で結論を述べてしまいましたが、湾フグ竿にまつわる過去の紆余曲折なども以下に記しているので、興味のある方はご覧ください。
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なぜメジャーブランドがそこまで駄目かと言えば、極々マイクロなアタリを拾う湾フグでは、極細の穂先が求められるからで、そんなニーズを真に受けていたら、穂先折れが多発=保証のしっかりとしたメジャーブランドでは、その度に修理依頼を受け、利益が出ない=怖くて手が出ないというのが本音だろう。

一方で、これなら大丈夫という確証が得られる(お茶を濁すような)竿では釣果が伴わず売れないという魔のスパイラルが生じるのだ。

とにかく、マニア達の手にしている改造竿もしくは誂竿は、グラスソリッドを極端に削り込んだ穂先が装着されている。
私が目にした事故(穂先折れ)は、仕掛をセットした竿を船縁の穴に立てて岸払いし、ポイント到着時には穂先が折れていたという悲惨なことがあった。
それ位、フグ竿は鋭敏な穂先が求められるのだ。

また、湾フグは誘わなければ釣れない魚でもある。
誘いの幅は人にもよるが、概ね20~30cmだろうか…。
この誘いにメリハリを付けるのが、穂持ち(ベリー)の強さ≒硬さだ。

仮に7:3調子の竿でもアワセは利くのだが、誘いとなると7:3調子ではどうしても1テンポ遅れ、シャープさに欠ける。
また、根掛かりのあるポイントでも軟かい竿は不利となる。
然るに湾フグ竿は、穂持ちがしっかりした9:1~8:2調子が好まれるのである。

竿の長さについては、好みが生じるのだが、既製(市販)品は概ね1.8m前後で、短めの竿が使いたい場合は誂えることになる。
但し、富津の胴付き食わせをする場合、仕掛が長いので1.8m以下の竿は使い辛いだろう。

竿の重さは言うまでもない。
1日手持ちの釣りなので軽くバランスの良い竿に越したことはないが、私は誘った(しゃくり)時に、リアグリップが衣服に纏わりつくのが煩わしいので、リアグリップが肘位の短めのものが使い易い。

斯くいう私の湾フグ竿は2本。
1本目はサクラの東京湾ふぐ竿(トリガー付)だ。
この竿は、前述、リアランサーWANFUGUのベースとなっている竿で、構造が3ピース。
穂先が折れた時に、替え穂先だけを購入できるところまでシマノがパクっている。
9:1の極先調子の竿で、リアランサーを触るまで、この竿にほぼ不満は無かった。
非常にお薦めの湾フグ竿である(ベンディングカーブの写真が文末にあります)。

もう1本が“極鋭ゲームフィール170”(廃番)で、0.5mmの極細のメタルトップが装着されたモデルなのだが、如何せん7:3調子の竿なので、穂持(ベリー)部分が柔らかく、誘いがかけづらい…。

そこで、同じダイワのメタリア湾フグも店頭で実際に触れてみたのだが(後発のメタルトップではあるのだが)、どうにも所有の2本よりシックリこない。
恐らく、この富津の喰わせ釣り用に開発したので、カットウ釣り用ではないのだろう。

ここで、富津の喰わせ釣りについても補足しておく。
湾フグには錘10号+カットウで釣る “カットウ釣り” と、錘20号+枝鈎にエサを付けて釣る “喰わせ釣り” がある。

喰わせ釣りは、富津港所属の船宿のみのルールで、海苔棚をカットウでボロボロにしないよう配慮しての自主規制で、カットウ釣りは禁止されている。

湾フグ竿とは言っても、稀にメタリアのように富津用の竿も含まれるので、購入時には錘負荷表示を必ずチェックするようにして欲しい。
カットウ専用竿は重たくても~15号負荷。
富津用は20号までは標準で背負えるような標記されている筈である。

そして諸兄が「まずは専用竿を…」とお考えの場合 “浅草釣具オリジナル” をお薦めする。

価格が1万円程度で、穂先が湾フグと外房用をチョイスでき(両方購入することも可)、湾フグ用の穂先はそれなりに感度が良い。
穂先だけの購入も(確か?)できた筈だ。
最初の1本には最適の竿である。

但し、人気商品ゆえ、欠品していることが多いのが玉に瑕。
毎年、秋頃に仕入れがあるので、興味のある方は問い合わせてみてはどうだろうか。

因みに湾フグ竿と他の竿とのベンディングを画像で比較してみた。
穂先の硬さが異なるのであまり参考にはならないかもしれないが、興味本位でご覧になって下さい(この写真に写っているメタリアは湾フグでなく「カワハギ」なので注意してください)。
【上】サクラ東京湾ふぐ竿(トリガー)1.78mに10号錘
【下】極鋭フィール1.7mに10号錘(キス竿と同じと考えて)
【穂先上】メタリアカワハギ1.8mに10号錘(標準的な剥竿)
【穂先下】サクラ東京湾ふぐ竿(トリガー)1.78mに10号錘
極鋭は穂先(ティップ)の柔らかさは専用竿と同等だが、7:3ということもありバットがヘニャヘニャだわな…。
湾フグ竿の代替として、推されるキス竿は総じてこんな曲がりである。

一方、メタリア“カワハギ”はバットから穂持ち(ベリー)までは専用竿と同等の硬さだが、穂先(ティップ)が頑丈な分、曲がりがないね。
手で穂先の曲がりを “ペニャペニャ” してみると、明らかにカワハギ竿の穂先は硬い…。

湾フグ竿をお持ちでない方に対し、カワハギ竿よりキス竿の方が良いとアドバイスされるのは、前述したような理由から…。
ゼロテンションで待つならば、バットのパワーより穂先の鋭敏さの方がプライオリティが高いのだ。

但し、手感度のみで釣りをされるならば、カワハギ竿の方が仕掛けをダイレクトに動かすことが出来るのでよいが、実際に湾フグは目感度で捕ることの方が多いので、それなりのお覚悟を!