2013-07-26

Revenge '13 partⅡ(エビスズキ編)

先週は、京都出張の新幹線の中でどうにも体調が悪くなり、名古屋で途中下車、アポをドタキャン(休憩)して東京に舞い戻ってくるという、なんとも情けない週だった。
京都出張の楽しみのひとつ、京旭屋の鯖寿司も食いそびれてしまったぁ~。

そんな駄目ダメな週の終わりに挑んだのは2年前に完全無敵のフル坊主を食らったエビスズキだ!
果たして、駄目オヤジのリベンジはなるか?


船宿は前回同様「仁春丸」。
ポイントも前回同様、八景沖から猿島周辺…。
ところが、一昨年と違ったのは潮流れと、私の右隣りに座られた常連さんだ。
中潮から大潮に変わった初日。
曇ってくれたおかげで暑さはそれほどでもなく。
週3日は船に乗るというこの常連さん=大先輩は、夏場はエビスズキしかやらないというこの釣りのエキスパート。
手とり足とり、色々とご教示いただいた。

ルアーでのシーバス=スズキは、ミノー、バイブレーション系の横アクションだけでなく、縦のジギングでもルアーを追うのは周知のことだ。
然るにエビスズキ未経験者は、当然、反転系(リアクション系)の魚と思うのだろうが、さに非ず、実は非常に臆病な魚なのだそうだ。

その臆病具合は、ひとつのポイントでバラシが発生すると、そのポイントでは暫くエサに見向きもしなくなるほどだという。

そんな臆病な魚だから、活性が悪いときはエサを咥えて“ジッーと”していることも多いそうで、大先輩曰く「そこでさっ、咥えてるだけの時、サイマキがピックピックって動いてくれたら喰い込むのよぉ~。だからエサの活きと、エサを弱らせない鈎付けでこの釣りの8割が決まちゃうの」と要点をまとめてくださる。

そんな経緯もあり、最初の何度かのエサ付けは大先輩に「お願いしま~す!」と、素直に甘えさせていただいた(笑)。

エサ付けのポイントとしては、エビの口から刺した鈎をツノの根本に合わせる(甲羅を透かして鈎先は見えるので)。
そのあと親指をエビの甲羅の上に置き、軽く押してやる。
親指にチクッと鈎先が触る感じに1mm鈎先が甲羅から出て、なお且つエビが反ってピョンピョン跳ねるくらいがベストとのこと。

エサ付けのレクチャーも冷めやらぬ2投目、早くも大先輩は当たりを察知。
「ほらっ当たってるでしょ、竿を送り込んでぇ~、喰い込んだら聞き合わせでいいからね。喰い込まないときは、ゆ~くり30~40cm聞いてみて。エサが生きてれば降ろしてもまだチャンスあるから」っとその解説のままに見事に船中ファーストキャッチ。

ふむふむ、マゴチやヒラメ、はたまたタチウオと同じ感覚でいいわけだなどとイメージして釣ること暫く、モゾッモゾッ…ピック、ピックと当りが私にも訪れた。
ひとつテンヤ用の竿を持ち込んだ。
大先輩も「その竿はこの釣りにいいねぇ~」と太鼓判
大先輩からのレクチャーのとおり、竿を送り込んで待つ。
キュッと喰い込んだところで、よ~いっしょと聞くと、ドラグが滑りながら竿が弧を描く。
ドラグの締め具合が(初めてなので)緩過ぎたようで、少し遊ばしてもらってタモ入れして貰った。

大先輩曰く「取り込みは釣り座に上っちゃった方がよいよ。ハリスがまあまあ長いから(仁春丸は3.0m指示)」とのこと。
サイズはフッコ(42cm)だったけど、人生初のエビスズキをGET。
成程、これがスズキ(60cmオーバー)であれば、やりとりはそこそこ面白そうだ。

早々にボウズを脱した私が余裕で船中を見廻すと、相変らず私の釣友共は指示棚▲1mでマダイを狙っている様子。
すると大先輩、「朝の時合はこんなもんだろうなぁ。次は22mのポイントかな?」なんて呟いていたら、本当に船は移動を開始して、「はいどうぞぉ、22m!」とアナウンス。
週3回も乗ってれば当然といえば当然だが、敵うわけがない。

時合も一段落して(潮止まり)、大先輩も含めて船中は静か。
私もウトウトしていたのだが、その静寂を破る当たりが何と私の竿を襲ったのだ(何時もは違う人の役割なのだが…)。

反転型の一発喰い込み。
大先輩が「マダイかっ?いやいや段引きしないからスズキだな…。デカいぞぉ~」とタモを構えること4~5分、私の左上腕二頭筋がぷるっぷるっしながら顔を見たのは、1.5mはあるシャークだった。

これを契機に上げ潮が効きはじめると、釣友共も狙い通りのマダイを交えて、ポツポツと型をみて、船中ボウズなし。
フッコをもう1匹追加して終了
私はといえば、サイマキさんが食い千切られて上がってきたことが1回あったのだが、全くアタリに気付かなかった。
これは大先輩に「置き竿なんかにしてるからぁ。その食い千切り方だったらマダイだし、アタリは絶対にあったのにぃ。勿体ない」とお叱りをいただいた。
でもマダイだったら当りに気付いても結果は同じだったような…。

まあ、そんな感じで大先輩とお話をしながら楽しく1日を過ごさせていただいた訳ですが、最後に大先輩のアドバイスをひとつ。

大先輩:うめちゃんは普段は何の釣りが多いの?
→フグが好きなんです。

大先輩:私も夏が過ぎれば湾フグもやるし、鹿島にも行くよ。何しろ昔はフグの肝まで食ってたくらい。
→原則として美味しいのを追い掛けるんですが、フグが1番かな…。アカムツも好きですね。

大先輩:私もフグの味は好きだけど、ここのスズキも本当に美味いよ。何しろオニカサゴより美味かったって言ってた奴もいたくらい。湾奥でもスズキは釣れるけど、あれは臭くて食べられない。とにかくアクアラインより下、千葉であれば富津近辺、神奈川だったらここら辺(八景)まで来ればスズキの味が激変するんだよ。脂が乗ってるけど上品な白身だよ。騙されたと思って食べてみて。フグの次ぐらいになるかもね。
そんな訳で食べてみました。
感想はといえば(私見ではありますが)、美味しいけど、ビックリするほどでもないかな…。
以前、食べてびっくりした「イラ」の方が上だなぁ~。
大先輩、悪しからずお許しを。

2013-07-07

魚包丁について

私は釣ったお魚を美味しくいただく派です。
そのために欠かすことができないのが「包丁」です。

美味しくいただくという視点に立つと、包丁には釣具以上に拘ってもいいのではないかとも思います。
これから釣りを始めようと考えている方、魚を釣って帰ったが、捌くのに苦労した経験(包丁を買わなければ…と思っている)のある方へのアドバイスを含め、私の包丁事情にも少し触れておきます。

【なぜ出刃包丁が必要か】
まず、家で魚を捌く場合、必携となるのが出刃(デバ)包丁です。
一昔前までは、一家(流し)に1本は出刃包丁が置いてあったものですが、魚はスーパーでトレイに乗った切身を買ってくる時代となり、まず釣りをする家庭にしか出刃包丁の需要はなくなってしまいました。

確かに、家庭で使う包丁の代名詞「三徳包丁」は使い勝手もよいものですが、こと魚を捌くのには適していません。
但し、柵(魚の切身)をお刺身に引いたり、魚の皮を引くには三徳包丁でも見た目を気にしなければ使えます。(柳刃包丁の話はまた別の機会に)

しかし、釣り人は概ね頭も尻尾もついた魚を家に持ち帰るものだから、まずは魚の頭を落とさなければならないし、骨をはずさなければ(三枚か五枚おろし)なりません。
この場合、三徳包丁の課題となるのが薄い両刃の包丁であることです。

硬い魚の頭(骨)を断つ場合に求められるのは、包丁の厚み(重さ)です。
薄い包丁では謂れの如く「刃がたたない」のです。
まあ1匹くらいであれば、何とかなっても、アジのように何匹も釣れる魚は危なっかしいし、刃もこぼれてしまうでしょう。

一方、出刃は厚く重い包丁です。
頭を落とすときは、骨と骨の隙間に刃を当てて左手で押せば(大型は左手で叩く)、包丁の重みも手伝ってすんなりと頭を落とせます。
出刃包丁の厚み
次に、大方の料理では身から骨をはずすことになると思います。
所謂、三枚おろしです。
ここで問題となるのが、包丁の刃のつけ方です。

前述のとおり、三徳包丁は両刃の包丁で、出刃は片刃です。
もう少し詳しく言えば、出刃の刃のついていない面は真っ平ではなく、ごく僅かに窪んでいるんです。
ですので、身離れがいいんですね。

また、三枚におろす際は、包丁の切っ先を骨に当てて(目安にして)いますので、頭をおとすのと同じで、重さと厚みのある包丁が求められます。
三徳包丁では量(匹数)を捌くうちに切っ先がボロボロに欠けてしまいますし、薄く軽いが故に切り口も(反ってしまい)安定しません。
小型の魚を捌くのに便利な小さい出刃包丁
通称「アジ切り」。ステンレス鋼の包丁で、海に携
行するものだから、錆びを取るためにキズが多い
【包丁選び方について】
釣り人というのは厄介なもんで、流しで使う包丁を釣り場(海)にも持っていきたいなんて用件(条件)が発生するものだからややこしい。

そんな輩から包丁について質問されたりしますが、そんな時、私はズバリ「GLOBAL(グローバル)」をお薦めしています。

釣り人の用件(海に包丁を持参する)と日頃のメンテナンスを出来るだけ軽くするには、錆び≒包丁の素材に留意しなければなりません。
和食の職人さんの包丁は須らく鋼製で、魚を捌く音も響きよく、最強の包丁(値段も)なのですが、はっきり言って(家だけで使っていても)錆びます。

まめなお手入れが必要な鋼製包丁を釣りに持参し、潮風にでも晒せば、あっという間に錆びが広がってしまいます。
故に釣り人の包丁素材はステンレスに限定されるのです。
ステンレスであれば、釣行後・調理後の手入れだけでOKです。

因みにセラミックという選択はあるのかもしれませんが、素材特性上、ペティや三徳包丁に加工はできても、出刃の重みはセラミックでは出すことができません。

そんな訳でステンレス包丁を見渡すと、量産物ではGLOBALとなる訳ですが、それはGLOBALは純粋なステンレスではなく、ステンレス鋼の包丁だからです。
恐らく、素材に有名なYSS(ヤスキハガネ)を使用しているのではなかろうかと推測しています。

職人さんが使う鋼製の包丁より切れ味が劣りますが、錆びにも強くご家庭で使われるのには充分満足いただけると思います。


【安い包丁では駄目なの?】
弘法筆を選ばずで、河岸で魚を扱う方や料理人は三徳包丁でも鮮やかに魚を捌きます。
これは魚のどこに刃を当てれば、力を入れずに魚を切れるか体得しているからです。
しかし我々は、その域にはなかなか到達できないものです。

「関孫六(貝印)」などに代表される量産の出刃包丁がホームセンターで3000円位で売ってはいますが、買った直後は問題なくとも、何年かする間に切れ味や錆び、欠け(メンテナンス)の問題が生じ、買い替えが発生します。

これが3度も重なれば9000円です。
GLOBALであればメーカー希望価格で8400円。
釣具全般にも言えることですが、魚用包丁についても「安物買いの銭失い」が顕著になります。


【MY包丁】
私も何だかんだ「安物買いの銭失い」で、あれこれ安包丁を買ったものですが、現在は「牛刀」をメインに使っています。
その名のとおり、肉を切る両刃包丁ですが、重さもそこそこあり、お魚用に片刃に研いで(仕上げて)あります。
牛刀(これもステンレス鋼です)
よほど大きいお魚でない限り、これ1本で全て(通常の料理も含め)賄える万能包丁です。
但し、出刃がないとどうにもならない時もあるので、「最初の1本」にはお薦めしません。