2013-07-07

魚包丁について

私は釣ったお魚を美味しくいただく派です。
そのために欠かすことができないのが「包丁」です。

美味しくいただくという視点に立つと、包丁には釣具以上に拘ってもいいのではないかとも思います。
これから釣りを始めようと考えている方、魚を釣って帰ったが、捌くのに苦労した経験(包丁を買わなければ…と思っている)のある方へのアドバイスを含め、私の包丁事情にも少し触れておきます。

【なぜ出刃包丁が必要か】
まず、家で魚を捌く場合、必携となるのが出刃(デバ)包丁です。
一昔前までは、一家(流し)に1本は出刃包丁が置いてあったものですが、魚はスーパーでトレイに乗った切身を買ってくる時代となり、まず釣りをする家庭にしか出刃包丁の需要はなくなってしまいました。

確かに、家庭で使う包丁の代名詞「三徳包丁」は使い勝手もよいものですが、こと魚を捌くのには適していません。
但し、柵(魚の切身)をお刺身に引いたり、魚の皮を引くには三徳包丁でも見た目を気にしなければ使えます。(柳刃包丁の話はまた別の機会に)

しかし、釣り人は概ね頭も尻尾もついた魚を家に持ち帰るものだから、まずは魚の頭を落とさなければならないし、骨をはずさなければ(三枚か五枚おろし)なりません。
この場合、三徳包丁の課題となるのが薄い両刃の包丁であることです。

硬い魚の頭(骨)を断つ場合に求められるのは、包丁の厚み(重さ)です。
薄い包丁では謂れの如く「刃がたたない」のです。
まあ1匹くらいであれば、何とかなっても、アジのように何匹も釣れる魚は危なっかしいし、刃もこぼれてしまうでしょう。

一方、出刃は厚く重い包丁です。
頭を落とすときは、骨と骨の隙間に刃を当てて左手で押せば(大型は左手で叩く)、包丁の重みも手伝ってすんなりと頭を落とせます。
出刃包丁の厚み
次に、大方の料理では身から骨をはずすことになると思います。
所謂、三枚おろしです。
ここで問題となるのが、包丁の刃のつけ方です。

前述のとおり、三徳包丁は両刃の包丁で、出刃は片刃です。
もう少し詳しく言えば、出刃の刃のついていない面は真っ平ではなく、ごく僅かに窪んでいるんです。
ですので、身離れがいいんですね。

また、三枚におろす際は、包丁の切っ先を骨に当てて(目安にして)いますので、頭をおとすのと同じで、重さと厚みのある包丁が求められます。
三徳包丁では量(匹数)を捌くうちに切っ先がボロボロに欠けてしまいますし、薄く軽いが故に切り口も(反ってしまい)安定しません。
小型の魚を捌くのに便利な小さい出刃包丁
通称「アジ切り」。ステンレス鋼の包丁で、海に携
行するものだから、錆びを取るためにキズが多い
【包丁選び方について】
釣り人というのは厄介なもんで、流しで使う包丁を釣り場(海)にも持っていきたいなんて用件(条件)が発生するものだからややこしい。

そんな輩から包丁について質問されたりしますが、そんな時、私はズバリ「GLOBAL(グローバル)」をお薦めしています。

釣り人の用件(海に包丁を持参する)と日頃のメンテナンスを出来るだけ軽くするには、錆び≒包丁の素材に留意しなければなりません。
和食の職人さんの包丁は須らく鋼製で、魚を捌く音も響きよく、最強の包丁(値段も)なのですが、はっきり言って(家だけで使っていても)錆びます。

まめなお手入れが必要な鋼製包丁を釣りに持参し、潮風にでも晒せば、あっという間に錆びが広がってしまいます。
故に釣り人の包丁素材はステンレスに限定されるのです。
ステンレスであれば、釣行後・調理後の手入れだけでOKです。

因みにセラミックという選択はあるのかもしれませんが、素材特性上、ペティや三徳包丁に加工はできても、出刃の重みはセラミックでは出すことができません。

そんな訳でステンレス包丁を見渡すと、量産物ではGLOBALとなる訳ですが、それはGLOBALは純粋なステンレスではなく、ステンレス鋼の包丁だからです。
恐らく、素材に有名なYSS(ヤスキハガネ)を使用しているのではなかろうかと推測しています。

職人さんが使う鋼製の包丁より切れ味が劣りますが、錆びにも強くご家庭で使われるのには充分満足いただけると思います。


【安い包丁では駄目なの?】
弘法筆を選ばずで、河岸で魚を扱う方や料理人は三徳包丁でも鮮やかに魚を捌きます。
これは魚のどこに刃を当てれば、力を入れずに魚を切れるか体得しているからです。
しかし我々は、その域にはなかなか到達できないものです。

「関孫六(貝印)」などに代表される量産の出刃包丁がホームセンターで3000円位で売ってはいますが、買った直後は問題なくとも、何年かする間に切れ味や錆び、欠け(メンテナンス)の問題が生じ、買い替えが発生します。

これが3度も重なれば9000円です。
GLOBALであればメーカー希望価格で8400円。
釣具全般にも言えることですが、魚用包丁についても「安物買いの銭失い」が顕著になります。


【MY包丁】
私も何だかんだ「安物買いの銭失い」で、あれこれ安包丁を買ったものですが、現在は「牛刀」をメインに使っています。
その名のとおり、肉を切る両刃包丁ですが、重さもそこそこあり、お魚用に片刃に研いで(仕上げて)あります。
牛刀(これもステンレス鋼です)
よほど大きいお魚でない限り、これ1本で全て(通常の料理も含め)賄える万能包丁です。
但し、出刃がないとどうにもならない時もあるので、「最初の1本」にはお薦めしません。

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