2011-09-04

湾フグ竿

湾フグの釣行記では事に触れてタックルのコメント等を残してきましたが、今回は「湾フグの竿」について詳しく書いておこうと思います。

そもそも「湾フグ」と銘打った竿はメジャーブランドからは殆ど販売されていません。
販売されていたとしても、お茶を濁すような竿ばかり…。
それを裏付けるように、実際の釣行で船中を見回しても誰もメジャーブランドの竿は手にしていません。

-----追記---------------------------------------------------------------
上記の前置きは、このコメントを作成した平成23年(2011)当時の話です。
平成26年(2014)現在、ロッド素材(カーボン等)の進化や、加工技術の向上も手伝って、メジャーブランドも湾フグ竿を何本も市場投入しています。
特に、過日釣具屋で触ったSHIMANOリアランサーWAN FUGUは、湾フグフリークの私としても是非、手に入れたい銘竿です。
この追記で結論を述べてしまいましたが、湾フグ竿にまつわる過去の紆余曲折なども以下に記しているので、興味のある方はご覧ください。
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なぜメジャーブランドがそこまで駄目かと言えば、極々マイクロなアタリを拾う湾フグでは、極細の穂先が求められるからで、そんなニーズを真に受けていたら、穂先折れが多発=保証のしっかりとしたメジャーブランドでは、その度に修理依頼を受け、利益が出ない=怖くて手が出ないというのが本音だろう。

一方で、これなら大丈夫という確証が得られる(お茶を濁すような)竿では釣果が伴わず売れないという魔のスパイラルが生じるのだ。

とにかく、マニア達の手にしている改造竿もしくは誂竿は、グラスソリッドを極端に削り込んだ穂先が装着されている。
私が目にした事故(穂先折れ)は、仕掛をセットした竿を船縁の穴に立てて岸払いし、ポイント到着時には穂先が折れていたという悲惨なことがあった。
それ位、フグ竿は鋭敏な穂先が求められるのだ。

また、湾フグは誘わなければ釣れない魚でもある。
誘いの幅は人にもよるが、概ね20~30cmだろうか…。
この誘いにメリハリを付けるのが、穂持ち(ベリー)の強さ≒硬さだ。

仮に7:3調子の竿でもアワセは利くのだが、誘いとなると7:3調子ではどうしても1テンポ遅れ、シャープさに欠ける。
また、根掛かりのあるポイントでも軟かい竿は不利となる。
然るに湾フグ竿は、穂持ちがしっかりした9:1~8:2調子が好まれるのである。

竿の長さについては、好みが生じるのだが、既製(市販)品は概ね1.8m前後で、短めの竿が使いたい場合は誂えることになる。
但し、富津の胴付き食わせをする場合、仕掛が長いので1.8m以下の竿は使い辛いだろう。

竿の重さは言うまでもない。
1日手持ちの釣りなので軽くバランスの良い竿に越したことはないが、私は誘った(しゃくり)時に、リアグリップが衣服に纏わりつくのが煩わしいので、リアグリップが肘位の短めのものが使い易い。

斯くいう私の湾フグ竿は2本。
1本目はサクラの東京湾ふぐ竿(トリガー付)だ。
この竿は、前述、リアランサーWANFUGUのベースとなっている竿で、構造が3ピース。
穂先が折れた時に、替え穂先だけを購入できるところまでシマノがパクっている。
9:1の極先調子の竿で、リアランサーを触るまで、この竿にほぼ不満は無かった。
非常にお薦めの湾フグ竿である(ベンディングカーブの写真が文末にあります)。

もう1本が“極鋭ゲームフィール170”(廃番)で、0.5mmの極細のメタルトップが装着されたモデルなのだが、如何せん7:3調子の竿なので、穂持(ベリー)部分が柔らかく、誘いがかけづらい…。

そこで、同じダイワのメタリア湾フグも店頭で実際に触れてみたのだが(後発のメタルトップではあるのだが)、どうにも所有の2本よりシックリこない。
恐らく、この富津の喰わせ釣り用に開発したので、カットウ釣り用ではないのだろう。

ここで、富津の喰わせ釣りについても補足しておく。
湾フグには錘10号+カットウで釣る “カットウ釣り” と、錘20号+枝鈎にエサを付けて釣る “喰わせ釣り” がある。

喰わせ釣りは、富津港所属の船宿のみのルールで、海苔棚をカットウでボロボロにしないよう配慮しての自主規制で、カットウ釣りは禁止されている。

湾フグ竿とは言っても、稀にメタリアのように富津用の竿も含まれるので、購入時には錘負荷表示を必ずチェックするようにして欲しい。
カットウ専用竿は重たくても~15号負荷。
富津用は20号までは標準で背負えるような標記されている筈である。

そして諸兄が「まずは専用竿を…」とお考えの場合 “浅草釣具オリジナル” をお薦めする。

価格が1万円程度で、穂先が湾フグと外房用をチョイスでき(両方購入することも可)、湾フグ用の穂先はそれなりに感度が良い。
穂先だけの購入も(確か?)できた筈だ。
最初の1本には最適の竿である。

但し、人気商品ゆえ、欠品していることが多いのが玉に瑕。
毎年、秋頃に仕入れがあるので、興味のある方は問い合わせてみてはどうだろうか。

因みに湾フグ竿と他の竿とのベンディングを画像で比較してみた。
穂先の硬さが異なるのであまり参考にはならないかもしれないが、興味本位でご覧になって下さい(この写真に写っているメタリアは湾フグでなく「カワハギ」なので注意してください)。
【上】サクラ東京湾ふぐ竿(トリガー)1.78mに10号錘
【下】極鋭フィール1.7mに10号錘(キス竿と同じと考えて)
【穂先上】メタリアカワハギ1.8mに10号錘(標準的な剥竿)
【穂先下】サクラ東京湾ふぐ竿(トリガー)1.78mに10号錘
極鋭は穂先(ティップ)の柔らかさは専用竿と同等だが、7:3ということもありバットがヘニャヘニャだわな…。
湾フグ竿の代替として、推されるキス竿は総じてこんな曲がりである。

一方、メタリア“カワハギ”はバットから穂持ち(ベリー)までは専用竿と同等の硬さだが、穂先(ティップ)が頑丈な分、曲がりがないね。
手で穂先の曲がりを “ペニャペニャ” してみると、明らかにカワハギ竿の穂先は硬い…。

湾フグ竿をお持ちでない方に対し、カワハギ竿よりキス竿の方が良いとアドバイスされるのは、前述したような理由から…。
ゼロテンションで待つならば、バットのパワーより穂先の鋭敏さの方がプライオリティが高いのだ。

但し、手感度のみで釣りをされるならば、カワハギ竿の方が仕掛けをダイレクトに動かすことが出来るのでよいが、実際に湾フグは目感度で捕ることの方が多いので、それなりのお覚悟を!

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