2011-01-02

ライトタックル(LT)のすゝめ②

12月はメモ程度のUPをしたのみで、年が明けてしまいました。
皆さん、新年おめでとうございます。
私は非常に短い冬季休暇なのですが、書き溜めた下書きの清書などしながら、初釣りにも出掛けられたら…などと考えております。

今年最初のUP(清書)は続編ものから…。

前回(ライトタックルのすゝめ①)では、LTの成立ち(PEライン)からベイトリールについて触れました。
今回はLTの効力やロッドについて触れていきたいと思います。

前回の繰り返しとなりますが、PEラインの品質向上によりゲージの極細化が進むと、魚種毎に確立されていた釣り方や概念(タックル)にイノベーションが起こります。
結果としてタックルは強度をそのままに、細い・小さい・軽い方向に進化しました。
詳しくは前回を参照してください。

そのような視点に立つと、手軽な釣りとして親しまれてきたターゲット(キス、カワハギといった)は以前から軽い錘(華奢なタックル)で釣られており、本当の意味でLTとは言えないのかもしれませんね…。

但し、カワハギやフグは「水中ホバリングが可能な種」であり、アタリが明確な魚(エサを咥えて走ったり反転する)と異なりエサを啄むことからアタリ(シグナル)は極僅かです。
その僅かなシグナルを捉えるのにLT化は好都合だったのです。
特にカワハギの近年のブームがLT化を促進させた一面も否めない(立役者)点です。
いずれにせよ「LTはテクニカル≒ゲーム性の高い」傾向に進化しているのです。

私がLTを推奨する理由のひとつが、釣りが上手くなること(テクニカル)です。
「LTをやったからって、上手くなるわけないだろ~!」と思われる方もいらっしゃると思います…。
そこで、私自身のことを例に大好きなイカ釣りについて少し触れてみたいと思います。

私は今まで夏はスルメ、冬はヤリイカといったローテーションで年中イカ釣りを楽しんできましたが、今年(去年)はスルメが不調だったこともあり、LTマルイカに入門しました。
初めて乗った乗合船ではシェイク(叩き)、ゼロテンション、弛ませ、聞き上げ、巻き落とし、アクションの後のピタ止め等、皆さん色々なテクニックでマルイカを攻略しており、正直、忙しないなぁ~と思いました。

ところが、いざ実釣してみるとLTマルイカは想像を超えて難しく(翻弄され)、穴に吸い込まれるが如くズッポリとマルイカ地獄に嵌っていきました…。

それまでのイカは(スルメより難しいヤリイカにしても)、着底して弛ませる、シャクってツノを躍らせる、タナを探る、巻き落とし程度の引き出しです。
ましては120号以上の錘を使用し、中型の電動リールを背負う通常タックルでの作業です。

どうしても素早い動作は不可能ですし、大雑把にもなります。
更に乗りが悪ければ、タックルが重いことも手伝って、動作も単調な繰り返しになるのと同時に、ひとつひとつの動作が持つ意味も忘れがちになります。

ところがLT(マルイカ)はどうでしょう?
着底して叩く・止める→乗らない。
聞き上げる→触りがない。
巻き落とし。
着底、弛ませ、聞き上げ→乗らない。
タナを上げて叩き・止める→乗らない。
仕掛け回収、ツノ交換…。

慌しくも、LTの方が展開・動作が速い、乗せるために何が必要なのか考える…。
必然、海の中のマルイカの行動を想像する、潮の流れ・風向きも考慮する。
乗りを捕えるために穂先への集中力も高まる。

要するに同種類の釣りであれば、手数が多い分、上達が早くなる訳なんです。
初めてヤリイカ釣りをした時、アタリが解らずにハチャメチャな釣りとなってしまったものですが、今、ヤリイカを釣りに行けば、恐ろしく冷静に物事が判断・対処できます。

どうでしょう、少しは納得のいく内容だったでしょうか…。
何れにせよLTが釣りを上手くすることは、小生にとって疑う余地がないのであります。
加えて、タックルの軽さは特筆に値します。
確かにレギュラータックルの竿、電動リールは重いのですが、何を於いても堪えるのが錘の重さです。
過日、南房の釣りで久々に150号の錘を背負ったところ、船を降りたら腰が痛くて、痛くて…。

そこで代表的なLTのターゲットで通常タックルと使用錘の比較をしてみましょう。

          (通常) (LT)
 コマセマダイ……… 80号→ 40号
 アジ…………………130号→ 60号(軽くて30号)
 タチウオ……………100号→ 50号(軽くて40号)
 マルイカ…………… 80号→ 40号(軽くて30号)

アジについては、ポイントによる条件が異なるので、一概には言えないものの、タイとタチウオは実際の数値です。
これらの流れはライン(PE)に続きロッドに表れます。

LTロッド(ゲームロッドとも言うか…)が各メーカーから次々と登場しています。
ではロッドの進化はどこに現われるのか?



軽さ(スリム化)は当然として、LTロッドは素材の良さが際立ちます。
特に穂先はそれまで最高峰とされてきたグラスソリッドを凌ぐメタルトップがダイワから販売され、ライバルメーカーもそれに追従して超敏感な穂先の開発競争となっています。

他の部位にしても、これまでレギュラータックルは30号負荷で7:3調子、○○○gといった選択が主でしたが、カワハギ竿を例にとれば、LTロッドはエサ釣りの竿であるのにも拘らず、①ティップ、②ベリー、③ブランクス(バット)、④グリップの硬さを数字表記するまでに至っています。

ダイワの極鋭カワハギ1455を例にすると、数字は5段階評価になっており、最も硬いのが「5」、最も軟らかいのが「1」です。
ティップが1となるので、最高に軟らかく、4のベリーは硬め、それぞれ5のブランクスとグリップはガチガチに硬いということになります。
調子で言うと9:1の極先調子ということですね…。

因みにこの竿はメタルトップ装着モデルなので、穂先とブランクスと素材が別物。
継ぎはリールシートの真上にありますので、竿は3つの部位で構成されています。
メタルトップはさて置き、ベリーからブランクスにかけては1本ものということになります。

ティップを除く部位の殆どは「カーボン」となる訳ですが、このカーボンの進化がまた凄い!
ナノテクの進歩はカーボンを分子レベルで構成できることから強度向上しています。
結果として軽量化(薄くすること)が可能となり、従来のチューブラ構造から極端な肉厚細身設計が可能となりましたし、軟らかい素材に強度のある薄い素材をオーバーラップするといった使われ方も頻繁です。

例えば、UDグラス(今までグラス繊維は竿に対して平行に使っていたが、垂直(筒状)に加工し、グラスの欠点である繊維のほつれを防ぎながら、特性≒粘りを活かす)にカーボンをコンポジットした素材も出回っており、憧れのチェルマーレもこの構造です。
シマノ「スパイラルX」も同じような構造ですね。
薄ーいカーボンテープを竿全体にクロスに巻き上げてネジレ≒強度UPしているのです。

またブラックカーボンの開発も進んでいるようで、ナノ技術と時を同じくして進歩してきたLTロッドのブランクスはこれらの技術の恩恵を享受しているのです。
まさに好きな調子(ベンディングカーブ)を追い求めることが可能です。

LTをまだ経験されていない諸兄におかれては、100gアンダーの高性能ロッドを手に是非、いちどLT船に乗船されては如何でしょうか。

因みに私の一番のお気に入りLTロッドは、アルファタックルAlbaTrossフラフラMLです。
ライトタックルにしては背負える錘の範囲が広く、LTアジ、LTタチウオ、キス他、何かと便利な1本です。

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